小学生の頃、みほちゃんという同級生がいた。
みほちゃんは、背が高くて、美人でおまけに頭もよくて、性格もいいという完璧な美少女だった。
美少女だからといって、お高くとまったり、目立とうというタイプではなく、他人の悪口も一切言わない人だった。他人との距離感が絶妙なので、だれも彼女を嫌う人はいなかった。
みほちゃんの家族構成は、みほちゃんの下に弟が二人とおばあちゃん。お父さんがいて、お母さんはいなかった覚えがある。
小学校低学年の頃、はじめてみほちゃんのお家に遊びに行かせてもらったとき。バラック小屋みたいなお家に住んでいて、とても驚いた。
すごく狭いので、荷物が天井まで積み上げられている。圧迫感がすごかった。みほちゃんと弟の部屋に入らせてもらったのだけれど、3段ベットになっていて、それぞれのお部屋みたいになっていた。
勉強机が一つだけあり、弟たちのランドセルも置いてあった。
弟はどこにいるの?と聞くと、弟たちは、外で遊んでると、みほちゃんはそう言ってたけど子供の声は一切聞こえなかった。
荷物は多いけど、キチンと整理されてて、悪い気分はしなかった。途中でトイレを借りると、台所と3畳くらいのスペースにおばあちゃんが内職しているであろう道具があった。
トイレに入ると、なめんなよ猫のポスターが貼ってあって、それがやたらと印象に残っている。
どこでお風呂に入ったり、ご飯を食べたりしてるんだろうと思っていたけれど、通りを渡った向かい側におばあちゃん家があるという。そこは庭もあるような大きな家だった。
みほちゃんは、弟たちがおばあちゃん家にいるのかも。と名前を呼んだけれど、一切返事がない。
その後、神社で遊ぼうと、もう一人の友達と神社に向かうと、みほちゃんは、いなくなっていた。
みほちゃんはいつもそうだった、気が付くといつもいなくなってしまう。不思議な子だなと思っていたのと同時に、賢い子だなとも思っていた。
それより私は、みほちゃんがすごい場所に住んでいることに驚いた。よく狭い場所で弟たちとケンカせず、勉強もちゃんとして、すごく偉い人だと思った。
みほちゃんは、あまり友達と遊んだりしないので、学年が上がってクラスが変わると、自然に遊ばなくなった。
でも、みほちゃんの家の前は、よく通るので登下校の時なんかは、家から出てくるみほちゃんをよく見かけていたが、弟たちの姿を見たことは、一度もなかった。
9年間、一度も見かけたことがない。みほちゃんの弟たちは、何年生でどこの小学校に行ってたのだろうか?いったい何才なのだろうか?
本当にみほちゃんの弟は、存在しているのだろうか?
という疑問だらけだった。
中学校を卒業して引っ越ししてから、みほちゃんの家の前を通ることもなくなり、だいぶ時間が経った頃。
みほちゃんの家が気になり、見に行ってみることに。
なんと、みほちゃんの住んでいた家がなくなっていた。しかも元からそんな家などなかったかのように、古い家が建っていて、地形も変わっていた。
みほちゃんのおばあちゃん家は、変わらずあったけれど。
一体どういうことなんだろう??
元々、みほちゃんに弟はいなくて、
異世界での出来事だったのだろうか??
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